作品ができるまで
作品ができるまで
~キルンキャスト編~
1cm~10cm以上の大きさのガラスの粒を型に詰めて、窯に入れて焼成する「キルンキャスト」
ガラスも詰めやすく、比較的透明感のある作品を作ることができます。
ここではハートのチャームを作る工程をご紹介します。
・原型作り
作りたいかたちを粘土で作ります。
スタジオでは時間が経っても粘土の状態が変わらない油粘土を使用します。
・型取り
粘土原型を量っておき、型枠の中に入れます。
耐火石膏と呼ばれる熱に強い石膏(粉)を水に溶き、よく混ぜて型枠に流し込みます。
原型が隠れる厚さに石膏を流し、硬化するまで待ちます(約40分)
・粘土外しとガラス詰め
硬化が終わったら型から外して、粘土を取り出し、あらかじめ量っておいた粘土原型の重さから必要なガラス量を計算して型に詰めます。
・窯入れ
窯に入れて焼成します。
・窯出し
焼成後、窯内の温度が室温まで下がったら窯から出します。
この時は加熱すると発色するピンクとアプリコットを。焼成前のガラス粒の時との変化も楽しいです。
・型外し
型は基本的に1個につき1回きり。木づちで割り、ガラスを取り出します。
取出してみると型に触れた面と、型に触れていた面ではガラスの表面の質感が違います。
・加工作業
作品のまわりや気になる部分を加工機材や手磨きで仕上げていきます。
自分の気に入った質感になったら完成です。
表面、裏面はこんな感じ。
キルンワークの楽しみはこの「表面と裏面のちがい」があります。
両面をピカピカに磨くこともできますし、裏面の型肌が残った質感を残すこともできます。
~パート・ド・ヴェール編~
フランス語で「ガラスの練り粉」といいます。
粉砂糖~ザラメのような細かいガラス粒とカラーパウダーを自分で調合して作品を作ります。
透明度や色の濃さを工夫できる奥深い技法になります。
・原型作り
まずは作りたいかたちを作ります。
この時にある程度の色のイメージがあると良いですね。
・型取り
キャストと同様、耐火石膏で型をとります。
・粘土外しとガラス詰め
耐火石膏が乾いたら、粘土を取り外します。
今回はわかりやすいようにラインに沿って色を分けようと思うので、後で色を調合する時にそれぞれの重さが必要になるためそれぞれのパーツの重さを量っておきます。
・色を考える
色見本を見ながら配色を考えます。
・ガラスとカラーパウダーの計算
先に量っておいた粘土の重さから必要なガラス量や、カラーパウダーの計算をします。
必要なガラスとカラーパウダーはこんな感じになります。
・色を作る
カラーパウダーはあらかじめスプーンの背などでダマをつぶして…
ビニール袋の中に透明なガラス(スキガラス)とカラーパウダーを入れます
少し混ざりがよくなるように霧吹きで湿らせて…
振ります!!
キレイに混ざりました。色ガラスの出来上がりです。
必要な色をすべて用意して…ガラス詰めです。
・ガラス詰め
今回は型の中を厚紙で仕切ります。
色ガラスを詰めていきます。
その際に仕切り紙を支えるように各色入れていくと作業しやすいですね。
仕切り紙を抜いて焼成します。
・型外しと加工
焼成後はガラスが型になじんで出てきます。(ピンボケすみません…)
石膏型は一度きりの使用なので、木槌で壊していきます。
型から出した後、横についているガラスの残りを「バリ」というのですが、これが刺さると痛いので気を付けて作業します。
大まかにやすりでバリを取って、加工機で整えます。(キャストの加工作業参照くださいね)
加工が済んだらお皿にする為、もう一度窯入れします
素焼きの型にのせて…
ガラスが熔けないけれど柔らかくなる温度で焼成して…
上の写真と比較して見てみると、素焼きの器のかたちにそってガラスが曲がっていますね。
完成です。